【遠野物語】さっき、不如帰(ホトトギス)が啼いたので。【角田晶生】

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(角田晶生 つのだあきお・フリーライター)

 

 夜中にいきなり、山の中から鳥の声。

 

 テッペンカケタカ、ホトトギス。

 

 初夏を象徴する鳥の1羽ですが、柳田國男『遠野物語』に、こんな逸話があります。

 

 

 昔むかし、カッコウとホトトギスは、仲の良い、人間の姉妹でした。

 

 姉妹の家は貧しく、おやつにはいつも焼いた馬鈴薯(ジャガイモ)でしたが、姉は皮を食べ、妹にはホクホクの中身をあげていました。

 

 ある時、妹に魔が差して「お姉ちゃんばかり、いつも美味しいところ食べてずるい!」と、姉を包丁で刺し殺してしましました。

 

 すると、姉の死体は1羽の鳥となって

 

「ガンコ、ガンコ」

 

と啼きながら、飛び去ってしまいました。

 

 ガンコ、とは遠野の方言で「固い(もの)」との意で、姉はいつも「焼け焦げて固く、あまり美味しくない皮を食べていた」事を、鳥となって告げたのでした。

 

 それを聞いて、自分のしでかした事を後悔した妹は涙にくれて、

 

「包丁かけたか(姉を包丁にかけて、殺してしまった)」

 

と泣いている内に1羽の鳥となり、姉を追って飛び去ったそうです。

 

 以来、遠野ではホトトギスを「包丁鳥」とか「包丁かけ」と呼び、カッコウのいる山には、必ずホトトギスもいるのだとか。

 

 そんなお話しでした。

 

 

 以来、夜中にホトトギスの声を聞くと、そんな事を思い出します。

 

 きちんと謝って、仲直り出来るといいですね。

 

「ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば

 ただ有明の 月ぞ残れる」   後徳大寺左大臣



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