【鎌倉の昔話】西風と昆布。【角田晶生】

  • 2019.02.22 Friday
  • 23:27

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(角田晶生 つのだあきお・フリーライター)

 

先日、近所の老婦人に昆布を呼んで頂きました。

 

「西風が吹くと、由比ガ浜に昆布が上がるのよ」

 

そんな話しをしてくれました。

 

「昔はみんなで取りに行ったけど、今の若い人はそんなの興味ないわよね。昆布なんて、お金さえ出せばいくらでも買えるものね」

 

淋しそうに、彼女は言いました。

 

しかし、私は答えました。

 

「そんなこたぁありません。由比ガ浜のワカメには、西風の味がする。別に舌も肥えちゃいませんし、昆布の違いも分かりませんが、それでも、鎌倉の血が、西風の味を覚えています。そういう理屈じゃない事を、肌で伝えなくちゃいけません」

 

由比ガ浜の西風には、利尻昆布にも羅臼昆布にも負けない故郷の味がします。

 

今の人はなかなか忙しいから、なかなか昆布を取りには行けないけれど、それでも鎌倉の土地に這いつくばって生きて来た血が、西風の味を覚えています。

 

それは、絶対にカネでは買えないものです。

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